「食事量が減ってきたから、栄養補助食品を使った方がいいのかな」

「嚥下食を買ってみたいけれど、何を基準に選べばいいのか分からない」

「メイバランスやゼリーは見たことがあるけれど、本人が嫌がるかもしれない」

そんなご家族へ。

私は病院やデイサービスの現場で、市販の栄養補助食品や嚥下食を使っている方をたくさん見てきました。

便利なものは多いです。

ただ、実際には、

  • 甘すぎる
  • おいしくない
  • 本人が続けたがらない
  • とろみのつき方が思ったより難しい
  • そもそも安全に飲み込めるのか不安

という悩みもあります。

結論から言うと、嚥下食や栄養補助食品は、商品名だけで選ばない方がいいです。

大事なのは、本人が安全に飲み込めるか。

そして、生活の中で無理なく続けられるかです。

この記事では、現役STの視点で、市販の嚥下食・栄養補助食品を選ぶ時の考え方をまとめます。

※本記事は一般的な情報提供です。食事形態やとろみの必要性は、病気・体調・嚥下状態によって変わります。むせが多い、発熱を繰り返す、食後に声が湿る、体重が減っているなどの心配がある場合は、主治医・言語聴覚士・管理栄養士へ相談してください。

結論|見るポイントは3つです

嚥下食や栄養補助食品を選ぶ時は、まず次の3つで考えると分かりやすいです。

  1. 安全に飲み込めるか
  2. 味や量が本人に合うか
  3. 家族が無理なく準備できるか

「栄養が入っているから良い」

「やわらかいから安全」

と単純に決めるのは少し危ないです。

やわらかくても、口の中でばらけやすいもの。

栄養があっても、本人が甘すぎて嫌がるもの。

水分より、とろみの調整が難しいもの。

そういうことが実際にあります。

図解|選ぶ前に見る3つ

嚥下食・栄養補助食品を選ぶ前に見る3つ

市販品はとても便利です。

でも、本人の状態を見ずにこれなら大丈夫と決めるものではありません。

嚥下食と栄養補助食品は、目的が少し違います

まず、言葉をざっくり整理します。

嚥下食は、飲み込みやすさを考えて形を調整した食べ物、飲み物です。

これはやわらかくする、まとまりやすくする、口の中でばらけにくくするなど、食べやすさを考えます。

一方で、栄養補助食品は、食事だけでは足りないエネルギーやたんぱく質などを補う目的で使われることが多いです。

たとえば、少量で栄養をとりやすい飲料タイプやゼリータイプがあります。

ただし、栄養補助食品は「飲めば全部解決」というものではありません。

本人の嚥下状態によっては、飲料タイプがむせやすいこともあります。

嚥下機能が落ちている方はゼリータイプが安全な方もいます。

だから、STとしては、栄養だけでなく、飲み込みの安全性もセットで判断したいですね。

一次情報として知っておきたい分類

市販の介護食品を選ぶ時は、国や学会の分類も参考になります。

消費者庁には、特別用途食品の中に「えん下困難者用食品」という区分があります。

これは、飲み込みが難しい方に配慮した食品として、一定の基準をもとに表示されるものです。

農林水産省は、介護食品を「スマイルケア食」として整理しています。

また、専門職の現場では、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「嚥下調整食分類」も参考にされます。

ただ、ここで大切なのは、分類を丸暗記することではありません。

家族がまず知っておくとよいのは、やわらかい食品にも段階があるということです。

「やわらかい」と書いてあっても、本人に合うとは限りません。

心配な時は、商品の表示だけで判断せず、医療職に相談するようにしましょう。

現場で多い悩み|甘すぎる・おいしくない

栄養補助食品は、少量で栄養をとりやすいように作られているものが多いです。

そのため、味が濃く感じたり、甘すぎると感じたりする人もいます。

現場でも、

「甘すぎて飲みたくない」

「おいしくないから続かない」

という声はたくさんあります。

毎日続けるものだからこそ、味はかなり大事です。

家族としては、

  • いきなり大量に買わない
  • 少量から試す
  • 本人の好きな味に近いものを探す
  • 冷やすと飲みやすいか確認する
  • 飲み切れる量かを見る

このあたりを確認した方が失敗しにくいです。

食事量が落ちて栄養が心配な時は、飲み切りタイプの栄養補助食品を補助として使う方もいます。

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ただし、むせがある方や飲み込みに不安がある方は、飲料タイプが合うかどうかを医療職に相談してください。

ST目線で一番大事なのは「安全に飲み込めるか」

嚥下食や栄養補助食品を選ぶ時、ST目線で一番気になるのはここです。

安全に飲み込めるのか。

栄養があっても、本人がむせながら無理に飲んでいたら心配です。

味がよくても、姿勢が崩れていると危険が増えます。

特に見たいのは、

  • 食べる姿勢は安定しているか
  • 一口量が多すぎないか
  • 食べるスピードが速すぎないか
  • むせが増えていないか
  • 食後に声が湿った感じにならないか
  • 食べたあとに疲れすぎていないか

です。

図解|食べる時の安全チェック

嚥下食や栄養補助食品を食べる時の安全チェック

家族ができることは、食べさせることだけではありません。

本人が食べている時の様子を観察することも、とても大事なことです。

むせが続く、食後に声がゴロゴロする、食欲が落ちている、熱を繰り返す。

こういう時は、自己判断で進めず相談してほしいです。

とろみは、水やお茶と同じ感覚で考えない

ここは、家族がつまずきやすいところです。

とろみ剤は、水やお茶だけでなく、栄養補助食品や味噌汁などに使うこともあります。

でも、飲み物によって、とろみのつき方が違うことがあります。

お茶や水と比べて、栄養補助食品のように濃さや甘さがあるものは、とろみがつきにくいと感じることがあります。

「いつもと同じ量を入れたから大丈夫」

とは言い切れません。

図解|とろみで注意すること

飲み物によってとろみのつき方が変わることを示す図解

とろみで大事なのは、

  • 商品説明を確認する
  • 混ぜ方を守る
  • 少し時間を置いて状態を見る
  • ダマがないか確認する
  • 本人がむせていないか見る

です。

とろみ剤は、家庭でも使いやすい便利な道具です。

ただし、量や濃さは人によって違います。

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詳しい始め方は、とろみ剤の始め方でもまとめています。

手作り・市販品・宅配食は、使い分けでいい

私は個人的には、宅配食はかなりおすすめです。

理由は、家族の負担を減らしやすいからです。

嚥下食を毎回手作りするのは、本当に大変です。

やわらかくする。

まとまりやすくする。

栄養を考える。

見た目もできるだけ食事らしくする。

毎日続けるとなると、かなり負担があります。

ただし、宅配食が全員に正解というわけではありません。

時間に余裕がある人。

料理が好きな人。

費用をできるだけ抑えたい人。

本人が家族の手作りを楽しみにしている人。

そういう場合は、手作り中心でもいいと思います。

反対に、

「毎日はしんどい」

「主菜だけでも楽にしたい」

「本人に合うやわらか食を試したい」

という時は、市販品や宅配食を選択肢に入れていいです。

図解|手作り・市販・宅配の使い分け

手作り・市販品・宅配食の使い分けを示す図解

食楽膳は、嚥下対応の冷凍惣菜を自宅で受け取れるサービスです。

毎日手作りするのがしんどい時や、まずは市販のやわらか食を試してみたい時の比較候補になります。

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家族が失敗しにくい選び方

最後に、家族が選ぶ時の流れをまとめます。

まず、むせや発熱、体重減少などがある場合は、医療職に相談します。

次に、本人がどの形なら食べやすいのかを確認します。

飲料がいいのか。

ゼリーがいいのか。

やわらかいおかずがいいのか。

一口量はどのくらいがよいのか。

姿勢はどうするのか。

このあたりを見ます。

そのうえで、少量から試す。

本人の反応を見る。

家族の負担も見る。

続けられそうなら取り入れる。

この順番が安心です。

いきなり完璧な正解を探さなくて大丈夫です。

「本人に合うものを一緒に探していく」くらいの気持ちでいいと思います。

まとめ|便利なものほど、本人に合うかを見る

嚥下食や栄養補助食品は、家族の大きな助けになります。

でも、商品名だけで選ぶと失敗することがあります。

大事なのは、

  • 安全に飲み込めるか
  • 味や量が本人に合うか
  • とろみの調整ができるか
  • 家族が無理なく続けられるか
  • 手作り、市販、宅配を使い分けられるか

です。

私は宅配食もおすすめだと思っています。

でも、生活スタイルや時間的な余裕、経済的な面は家庭によって違います。

だからこそ、手作りだけで頑張るのではなく、市販品や宅配食も含めて、それぞれの家庭に合う方法を選んでほしいです。

食べることは、栄養だけではありません。

安心して、できるだけ本人らしく食事を続けるために、使える選択肢はうまく使っていきましょう。

参考にした一次情報