「口腔機能向上加算って、結局なにをすればいいの?」
「月2回まで取れるって聞いたけど、欠席したらどうなるの?」
「LIFE入力って、3か月?6か月?何を聞き取るの?」
私は最近、デイサービスで働きながら、口腔機能向上加算の存在をちゃんと知りました。
正直、先輩に聞いても最初は難しかったです。
病院でSTをしていた時は、嚥下評価や訓練そのものに集中していました。
でもデイサービスでは、そこに 加算・記録・請求・LIFE がつながってきます。
この記事では、私自身も学びながら、一人職場のST・デイサービス立ち上げに関わるST 向けに整理します。
※この記事は2026年7月時点の公開情報と現場経験をもとにした一般的な整理です。実際の算定・請求・届出は、事業所のサービス種別、指定権者、請求ソフト、医療事務・管理者の確認を優先してください。
結論|口腔機能向上加算は「訓練」だけではなく、計画・記録・請求確認までセット

口腔機能向上加算は、ざっくり言うと、口の機能や飲み込みに課題がある利用者さんへ、評価・計画・支援・記録を行う加算です。
STにとっては専門性を活かしやすい加算です。
でも、現場で混乱しやすいのは、訓練内容そのものよりも、次の部分だと思います。
- 口腔機能向上加算は何種類あるのか
- 月に何回まで算定できるのか
- 欠席が多い人はどう確認するのか
- LIFEには何を入力するのか
- 評価や聞き取りは何か月ごとなのか
私が今の時点で整理すると、初心者STはまず 「対象者」「計画」「実施」「記録」「請求確認」「LIFE」 の6つで見ると分かりやすいです。
加算は、利用者さんに関わった事実だけで自動的に取れるものではありません。
条件を満たして、記録が残っていて、請求担当に回数を正しく伝えられること が大事になります。
デイサービス全体の加算の考え方は、こちらの記事でも整理しています。
→ デイサービスの運営の仕組み|人員配置・加算・監査を一緒に学ぶ
そもそもLIFEとは?|国に提出する「介護の記録ノート」
まず、LIFEが分からないと、口腔機能向上加算(Ⅱ)が一気に難しく感じます。
LIFEは、ざっくり言うと 介護サービスの情報を国に提出する仕組み です。
正式には、科学的介護情報システムといいます。
💡 LIFEって何?:利用者さんの状態や、どんな支援をしたかを国に提出し、その情報を介護の質を高めるために使う仕組みです。読み方は「ライフ」です。
シンプルに説明するなら、
「デイサービスで、利用者さんの体や口の状態を記録して、国に提出する仕組み」
という感じです。
たとえば学校で、先生が
- 出席
- テスト
- 体力測定
- 生活の様子
を記録して、あとで「どんな支援が必要かな?」と考えますよね。
LIFEもそれに近いです。
介護の現場で、
- どんな状態の人がいるか
- どんな支援をしたか
- 状態がどう変わったか
を集めて、今後の介護サービスをよくするために使う仕組みです。
ただ、現場のSTからすると、
「国へのデータ提出」というより、
LIFEに入力するために、評価・聞き取り・記録を整える必要がある
というところが大変なんだと思います。
口腔機能向上加算は2種類ある?|ⅠとⅡ、何が違うの?
結論からいうと、初心者の私はまず 口腔機能向上加算(Ⅰ)と(Ⅱ)がある と理解すると分かりやすいです。
ただし、令和6年度の資料では、サービス種別やLIFE、一体的取組との関係で、(Ⅱ)イ・(Ⅱ)ロ のような枝分かれが出てきます。
ここがややこしい。
最初から全部覚えようとすると、私は頭が止まりました。
なので、まずは次のように整理します。
| 種類 | 単位 | 初心者向けの理解 |
|---|---|---|
| 口腔機能向上加算(Ⅰ) | 150単位/回 | 口腔機能向上サービスを実施する基本の加算 |
| 口腔機能向上加算(Ⅱ) | 160単位/回 | LIFEへの情報提出・活用まで行う加算 |

ここで「点」と言いたくなりますが、介護報酬では基本的に 単位 と呼びます。
病院の診療報酬では「点」、介護保険では「単位」と考えると分かりやすいです。
口腔機能向上加算(Ⅰ)は150単位。
口腔機能向上加算(Ⅱ)は160単位。
ざっくり言うと、LIFEまで行うⅡの方が10単位高い という理解です。
ただし、これは「Ⅱの方が良い」という意味ではありません。
要件を満たして、LIFEへの提出・活用までできる体制ならⅡ。
そうでなければⅠ。
このように、事業所の届出や運用によって変わります。
ここで大事なのは、「LIFEに入力したら自動的にⅡ」ではない ということです。
私の理解では、
LIFEへの情報提出は、Ⅱを算定するための大事な条件のひとつ。
です。
でも、それだけでⅡになるわけではありません。
事業所としてⅡを算定する届出・体制があり、対象者の評価、計画、説明と同意、実施記録、LIFE提出、フィードバック活用まで確認できて、はじめてⅡとして考えられます。
なので、STが現場で確認したいのは、
- 事業所はⅠとⅡのどちらで届出しているか
- LIFE提出が必要な利用者は誰か
- 計画・同意・実施記録がそろっているか
- 請求担当はⅠ・Ⅱのどちらで処理しているか
このあたりだと思います。
Ⅰを2回、Ⅱも2回?|答えは「合わせて月2回まで」と考える
ここが、私も最初に混乱したところです。
「Ⅰが150単位で月2回」
「Ⅱが160単位で月2回」
と聞くと、
「え、Ⅰを2回、Ⅱを2回で、合計4回取れるの?」
と思ってしまいますよね。
でも、そうではありません。
初心者向けに言うと、口腔機能向上加算という大きな枠が月2回まで です。
その月2回の中で、
- Ⅰとして算定するのか
- Ⅱとして算定するのか
を考えるイメージです。
たとえるなら、月に2枚まで押せる「口腔機能向上加算の枠」がある感じです。
その枠に、
- Ⅰのハンコを押す
- Ⅱのハンコを押す
という違いはあります。
でも、回数は月2回まで です。
つまり、
「口腔機能向上加算は、ⅠかⅡかを選ぶ。回数は合わせて月2回まで」
ここは請求に関わるので、最終的には医療事務さんや管理者に確認が必要です。
でも、STが現場で理解するレベルとしては、まずこの考え方でかなり整理しやすくなると思います。
つまり、算定できる回数は、
「MAX月2回。ただし、実際に取れる回数は利用日・欠席・介入実績で変わる」
と考えると現場では分かりやすいです。
ただ、加算名や単位数は改定で変わります。
請求に使う時は、必ず自分の事業所の請求ソフト、サービスコード表、管理者、医療事務さんと確認するのが安全です。
月2回まで取れる。でも「全員2回」ではない

私がいちばん現場でつまずきそうだと思ったのがここです。
口腔機能向上加算は月2回まで取れるとしても、全員が毎月2回になるわけではありません。
利用者さんによって、次のようなパターンがあります。
- 月2回介入できた人
- 月1回だけ介入した人
- 欠席が多くて0回になった人
- 週1利用で、タイミングが合わなかった人
- 月途中で利用開始・終了した人
先月2回取っていた人でも、今月も自動で2回とは限りません。
お休みが多ければ1回だけになることもあります。
場合によっては0回もありえます。
ここを確認しないまま請求に回すと、実績と請求がずれる可能性があります。
私も聞いた時に、
「え、これ一人ずつ確認するの?めっちゃ大変じゃない?」
と思いました。
特に見落としやすいのは、週1回利用の人 です。
毎週来ているように見えても、祝日・体調不良・家族都合で休みが入ると、月の介入回数がすぐ変わります。
医療事務への報告は、対象者リストで固定すると楽になりそう

口腔機能向上加算の確認は、頭の中でやると危ないと思います。
私なら、対象者リストを作って、月末にチェックする形にしたいです。
大事なのは、利用回数と介入回数を分けること。
利用していても、口腔機能向上サービスとしての評価・指導・実施ができていなければ、算定できません。
逆に、介入したのに医療事務さんへ伝え忘れると、算定漏れになります。
なので、月末だけでなく、できれば毎週1回、対象者リストを見ておくと安心です。
私なら次の3つに印をつけます。
- 週1回利用の人
- 欠席が多い人
- LIFEや再評価の月が近い人
この3つは、見落としやすいからです。
3か月ごとの評価と、LIFE入力のタイミングを分けて考える
わたしの職場では、聞き取りやLIFE入力を 6か月に1度 の頻度で行っているとのことでした。
でも、ここは少し整理が必要です。

厚労省の留意事項通知では、口腔機能向上サービスについて、おおむね3か月ごとに口腔機能の状態を評価する とされています。
一方で、LIFE関連加算の通知では、口腔機能向上加算(Ⅱ)のLIFE提出頻度は、個別機能訓練加算(Ⅱ)と同様の考え方が示されています。
個別機能訓練加算(Ⅱ)では、提出頻度として、
- 新規に計画を作成した月
- 計画を変更した月
- そのほか少なくとも3か月に1回
が示されています。
つまり、制度上は「3か月」がひとつの大事な区切りになります。
ただし、実際の運用では、事業所の体制、請求ソフト、LIFE入力の担当、既存の評価サイクルによって、管理表の作り方が違うことがあります。
ここは私も、事業所のルールを確認したいところです。
「職場で6か月に1回と聞いている場合でも、制度上の3か月評価・LIFE提出の考え方とズレがないか、管理者や請求担当に確認する」
ここは初心者STが曖昧なまま進めると危ない部分だと思います。
LIFEで聞き取る項目|歯科受診・義歯・食事形態などを見る
LIFE入力では、口腔機能向上サービスに関する計画書の項目が関わります。
厚労省のLIFE関連加算通知では、口腔機能向上加算に関して、たとえば次のような情報が挙げられています。

- 要介護度
- 日常生活自立度
- 現在の歯科受診について
- 義歯の使用
- 栄養補給法
- 食事形態
- 誤嚥性肺炎の発症・既往
- 口腔機能改善管理指導計画
- 実施記録
私が聞いた「歯医者に行っているかを聞く」という話も、ここにつながります。
たしかに、歯科受診、義歯、食事形態、誤嚥性肺炎の既往などは、STとしても見ておきたい情報ですよね。
でも、利用者さん一人ずつ確認して入力するとなると、けっこう大変です。
特に一人職場のSTだと、評価、訓練、記録、LIFE、請求確認まで重なります。
だからこそ、聞き取り用紙やチェック表を作っておくと、かなり楽になると思います。
口腔機能向上加算でSTが見たいポイント
口腔機能向上加算は、書類だけの話ではありません。
STとしては、利用者さんの口や飲み込みの変化を見る大事な機会でもあります。

たとえば、次のような点です。
- 口の中が乾いていないか
- 舌や唇が動かしにくくなっていないか
- むせが増えていないか
- 食事量が落ちていないか
- 義歯が合っているか
- 口腔清潔が保てているか
- 食事形態が今の状態に合っているか
厚労省の留意事項通知でも、必要に応じて介護支援専門員を通して、主治医や主治の歯科医師への情報提供、受診勧奨などの対応が示されています。
つまり、デイのSTだけで抱え込むものではありません。
「これは歯科で見てもらった方がいいかも」
「最近むせが増えているから、主治医やケアマネジャーに共有した方がいいかも」
そういう橋渡しも、口腔機能向上サービスの大事な役割だと思います。
一人職場ST・立ち上げSTが最初に作るとよさそうなもの
私が今から整えるなら、まずこの4つを作りたいです。
1. 対象者一覧表
誰が口腔機能向上加算の対象なのかを一覧にします。
曜日、利用頻度、評価月、LIFE月、算定回数をまとめます。
2. 月末確認表
月末に、利用実績と介入回数を照合します。
ここで医療事務さんへ報告する回数を確定します。
3. 聞き取りチェック表
歯科受診、義歯、食事形態、むせ、誤嚥性肺炎の既往などを確認します。
LIFE入力と同じ項目に寄せておくと、二度手間が減りそうです。
4. 3か月評価のリマインダー
おおむね3か月ごとの評価を忘れないようにします。
職場運用が6か月ごとになっている場合も、制度上の確認ポイントとして、管理者や請求担当と一度すり合わせたいです。
まとめ|「分からない」を放置せず、仕組みにすると楽になる
口腔機能向上加算は、初心者STにはかなり分かりにくいです。
私も最初に聞いた時、すぐには理解できませんでした。
でも、分解してみると大事なのは次のことです。
- 口腔機能向上加算は、まずⅠとⅡで理解すると入りやすい
- Ⅰは150単位、Ⅱは160単位
- Ⅰを2回、Ⅱを2回ではなく、口腔機能向上加算として合わせて月2回までと考える
- 欠席や介入実績によって、1回・0回もありえる
- 週1回利用の人は見落としやすい
- 医療事務へ報告するために、対象者リストが必要
- LIFEは、利用者さんの状態や支援内容を国へ提出する仕組み
- 口腔機能の評価は、おおむね3か月ごとが重要
- LIFEでは歯科受診、義歯、食事形態、誤嚥性肺炎の既往などを見る
- STだけで抱えず、ケアマネジャー、歯科、主治医、請求担当と連携する
制度を理解することは難しいです。
でも、STがここを理解できると、ただ訓練するだけではなく、事業所の運営にも貢献できる ようになります。
一人職場のSTや、デイサービス立ち上げに関わるSTほど、最初に仕組みを作っておくと後が楽になると思います。
私もまだまだ勉強中です。
同じように「よく分からない」と感じているSTさんと、一緒に学んでいけたらうれしいです。
制度や介護報酬の全体像を動画で学びたいSTには、専門職向け講座を使う方法もあります。
→ PT・OT・ST向けオンラインセミナー「リハノメ」(PR)
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参考資料
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」
- 厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」
- 厚生労働省「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」
※本記事は一般的な情報提供です。個別の加算算定、請求、LIFE提出、運営指導対応を判断するものではありません。実際の算定は、最新の介護報酬告示、留意事項通知、指定権者、管理者、請求担当者へ確認してください。


