「子どもの発音が気になる。家で何かできることはある?」
まずは、好きな絵本や遊びで、言葉のやり取りを楽しむところから。発音を繰り返し練習させる前に、本人の様子や困りごとを見ていきましょう。
家庭で楽しむ遊びと、その子に必要な発音の練習は別です。 心配なときは、年齢だけで判断せず相談できます。
私は現役の言語聴覚士ですが、わが子の言葉には心配もありました。この記事では、その経験と、遊び方・相談先を整理します。
※この記事には広告リンクを含みます。一般的な情報であり、お子さんの診断や個別の訓練方法を決めるものではありません。
わが子の言葉がゆっくりで、私も心配しました
祖母から「まだ話さないの?」と言われたことがあります。
特に下の子は、上の子と比べて言葉がゆっくりでした。私自身も、実際に心配していました。
ただ、ここでいう「言葉がゆっくりだった経験」と、「発音がはっきりしないこと」は同じではありません。
たとえば、知っている言葉の数が少ないことと、言いたい言葉はあるのに音が違って聞こえること。気になる点によって、確認する内容も変わります。
米国言語聴覚協会(ASHA)の一般向け資料でも、発音の相談では、音だけでなく聞こえや言葉の力などを確認すると説明しています。発音の問題に関する資料(英語)
「上の子はこの頃もう話していたのに」と思っても、きょうだいとの比較だけで判断しないことが大切です。相談するときは、今のお子さんが何に困っているのかを伝えてみてください。
言葉の数や理解の様子も気になる方は、子どもの言葉がゆっくりなときの確認ポイントも参考にしてください。
絵本は図書館で試して、気に入ったものを手元に
わが家で楽しんだのは、「ととけっこう よがあけた」や「まり」の絵本です。
でも、好きな本はお子さんによって違います。おすすめと言われたからといって、最初から全部そろえる必要はありません。
私がしていたのは、まず図書館で借りてみること。反応のよかった本を購入して、いつでも読めるようにしていました。

読み切ることより、反応を見ながら
ここからは、家庭での楽しみ方の提案です。
- 気に入ったページを、もう一度開く
- 指さした絵に合わせて、短く言葉を添える
- 子どもが話し始めたら、読む手を止めて聞く
- 興味が別のものに移ったら、いったん終える
最後まで読んだか、同じ言葉を言えたかを、毎回確かめなくても大丈夫。親が読む声を聞いたり、絵を一緒に眺めたりする時間として楽しめます。
「ととけっこう よがあけた」は、わらべうたの絵本です。出版社の紹介でも、繰り返しの言葉やリズムを楽しむ本として案内されています。こぐま社の商品紹介
これは発音を治す教材としてではなく、わが家で楽しんだ一冊としての紹介です。
気に入って手元に置きたい方は、「ととけっこう よがあけた」を楽天ブックスで見る(広告)から確認できます。まず図書館で探す方法でも構いません。
ほかの絵本や読み方は、子どもの言葉を楽しむ絵本の紹介にまとめています。
家庭の遊びは、正しい発音のテストにしない
絵本以外にも、身近なもので言葉のやり取りは楽しめます。ここで紹介するのは遊びの例で、発音の治療メニューではありません。
好きなものを一緒に探す
乗り物が好きなら、絵本や街で見つけた乗り物を話題にする。食べ物が好きなら、買い物や食事の場面で名前を話す。
「これは何?」と答えを求め続けるより、大人から「バスが来たね」と言葉を添える方法もあります。答えが返ってこなくても、一緒に見たことを共有する時間にできます。
音や言葉の繰り返しを楽しむ
動物の鳴き声や、絵本に出てくる短い言葉を楽しむのも一案です。
しりとりは、ルールを理解して楽しめるお子さんなら選択肢になります。難しい場合は、好きな食べ物を順番に言うなど、もっと簡単な遊びに変えてみてください。
発音が違って聞こえても、そのたびに会話を止める必要はありません。まずは「何を伝えたかったのか」を受け止めたいですね。
国立特別支援教育総合研究所も、災害時の支援資料で、言語障害のある子の話す内容を最後まで聞く配慮を示しています。家庭の発音練習を説明した資料ではありませんが、伝えたい内容を大切にする姿勢は参考になります。言語障害のある子どもへの配慮
吹く遊びをすれば発音がよくなる、とは言えません
シャボン玉や吹き戻しは遊びとして楽しめますが、発音改善を目的に購入するよう勧めるものではありません。
発話を伴わない口の運動について、Cochraneの2015年レビューでは、発音への効果を裏づける強い証拠は得られていません。小規模な研究に限られており、「絶対に効果がない」と決まったわけでもありません。研究レビュー(英語)
遊びの楽しさと、発音への治療効果は分けて考えましょう。 専門家から練習を提案されている場合は、その子に合う方法や量を確認してください。
年長まで待たず、気になるときは相談できます
私は、年長になっても発音が気になる場合には、ことばの教室を検討してみては、とお伝えしています。
ただし、「年長になるまで相談してはいけない」という意味ではありません。本人が伝わらず困っている、話すことを嫌がる、聞こえが気になる場合などは、早めに相談して構いません。

相談前にメモしておくこと
- どんな言葉が、どのように聞こえるか
- 家族以外にも話が伝わるか
- 呼びかけへの反応など、聞こえで気になる様子はあるか
- 本人が困ったり、話すのを嫌がったりしていないか
- 園ではどのように過ごしているか
正しい発音を言わせて確認する必要はありません。普段の会話で気づいたことを、一つ書いておくだけでも相談のきっかけになります。
どこに相談すればいい?
園の先生や、自治体の子育て・発達相談窓口、かかりつけの小児科などに相談できます。聞こえが心配な場合は、耳鼻咽喉科も相談先です。
ことばの教室は、地域や年齢によって対象・申込み方法が異なります。「今の年齢で利用できる相談先はありますか」と確認してください。すべての窓口で無料の訓練が受けられるとは限りません。
相談したら必ず訓練が始まるわけではありません。様子を確認して、家庭での関わり方や今後の見通しを一緒に考えることもあります。
よくある質問と、今日できる一歩
絵本を買えば、発音はよくなりますか?
購入するだけで発音が改善するとは言えません。好きな本を一緒に楽しむことと、必要な評価・練習を受けることは別です。
わが家では、図書館で反応を見てから選びました。教材代をかける前に試せる方法です。
言い直しを嫌がるときは?
無理に続けず、いったんやめましょう。伝えたい内容を聞き、必要なら指さしなども使ってやり取りしてください。専門家から出された課題なら、嫌がる様子も含めて相談しましょう。
家では何から始めればいいですか?
今日は、お子さんが好きな絵本を一冊、一緒に開いてみてください。
言えた音を数えるより、どのページに目が向くか、何を伝えようとしているかを見る。気になることがあれば、あとで一言メモする。
それだけでも、次に選ぶ本や、相談で伝えたいことが見えてきます。心配を一人で抱えながら、家庭で全部解決しようとしなくて大丈夫です。
参考資料
以下は2026年10月29日に確認しました。海外資料の年齢別の音の獲得目安を、日本語のお子さんにそのまま当てはめてはいません。


