「よく混ぜたつもりなのに、底にダマが残っている」。作り直すのも、毎回だと大変ですよね。
まずは粉を足さず、商品の混ぜ方と待ち時間を確認しましょう。 ダマが残った状態では飲ませず、製品ごとの説明に沿って対応します。
私は言語聴覚士として、とろみ剤を使ってきました。家族に混ぜ方を伝えたり、自宅で料理に使ったりした経験もあります。ここでは、その経験とメーカーの説明を分けてお伝えします。
今、困っていることから読む
とろみの濃さは、ご本人に合ったものを確認しましょう。日本摂食嚥下リハビリテーション学会では、とろみを『薄いとろみ』『中間のとろみ』『濃いとろみ』の3段階で示しています。ただし、ご家庭で一律に『中間』から始めるという意味ではありません。とろみが必要か、どの濃さが合うかは、ご本人の飲み込みの状態に合わせて判断します。主治医や担当の言語聴覚士に確認し、教わった濃さに調整しましょう。濃くするほど安心、というわけでもありません。濃すぎると飲みにくくなったり、飲む量が減ったりすることがあります。『今の濃さでよいのかな』と迷ったら、自己判断で変えずに相談してくださいね。
ダマを防ぐために、最初に確認する3つのこと

1.飲み物と粉の量を先に量る
「どのくらい入れればいいですか?」
とろみ剤の使い方を伝えるとき、よく聞かれる質問です。最初は、どれくらいの粉を入れるのか迷いますよね。
私は、まず分量を見て、一度作ってみることをお伝えしています。ここで確認するのは、ご本人に必要な濃さに合わせた、飲み物と粉の量です。担当の専門職の説明と、手元の製品表示を確認します。
作る回数を重ねるうちに、準備や混ぜる手順には少しずつ慣れていきます。最初から手際よくできなくても大丈夫です。
ただし、慣れてきても目分量にはせず、分量と飲む前の仕上がりは毎回確認しましょう。
「いつものコップに、だいたいこのくらい」だと、家族によって分量が変わってしまいます。まず量をそろえると、うまくいかなかった原因も見直しやすいのでおすすめです。
小袋も、1袋が誰にとってもちょうどよい量というわけではありません。飲み物の量と、ご本人に必要な濃さに合わせて使います。
2.粉を入れる順番と混ぜ方を確認する
少しずつ入れればよい、と決めつけないことが大切です。
例えば、日清オイリオの「トロミアップエース」は、飲み物をかき混ぜながら、あらかじめ量った粉をすばやく加える方法が案内されています。何回かに分けて入れると、ダマができるという注意もあります。
一方、キユーピーの「とろみファイン」は、飲み物に加えてしっかり混ぜ、その後とろみがつくまで待つ説明です。
同じとろみ剤でも説明が違うので、袋や容器の使い方を先に見るのが確実です。
3.指定された時間を待って、仕上がりを見る
混ぜた直後に薄く見えても、まだとろみがついている途中かもしれません。
トロミアップエースは、溶かしてから1〜2分でとろみがつくと案内されています。ただし、この時間をすべての商品に当てはめることはできません。
食品の種類や温度によっても、仕上がりや必要な時間は変わります。製品の説明に沿って待ち、飲む前にダマや粉の残り、濃さを確認しましょう。
ダマができたら、そのまま飲ませない
ダマのある飲み物を、そのままご本人に出すのは避けてください。
例えば「つるりんこQuickly」の公式案内では、ダマや濃すぎるもの、粉末をそのまま食べると、喉につまるおそれがあると注意されています。使用上の注意(森永乳業クリニコ)
同製品にはダマを取り除く案内がありますが、どの商品でも同じ対応でよいとは限りません。手元の製品の説明を確認し、均一にできたか判断に迷う場合は作り直すほうが確認しやすくなります。
また、薄いからといって、すぐに粉を足すのも待ってください。一度とろみがついたものへの追加で、ダマができる製品があります。
待ち時間が足りないのか、分量が違ったのかを確認してから、製品に合った方法で対応します。 判断できないときは、メーカーの相談窓口や担当の言語聴覚士に、商品名と作った手順を伝えて相談してください。
牛乳でとろみがつきにくいときの確認点
飲み物を変えたら、同じようにとろみがつかない。そんなときは、混ぜ方だけでなく、製品がその飲み物に向いているかも確認したいところです。
日清オイリオは、トロミアップエースの案内で、牛乳などたんぱく質の多い飲み物には別の製品をすすめています。
また、つるりんこQuicklyは、食品の種類や温度によって、とろみの強さや安定するまでの時間が異なると説明しています。
「お茶なら何でも1分」「牛乳なら粉を多めに」と一律に決めず、次の3つを確認してみてください。
- その製品は、作りたい飲み物に使えるか
- その飲み物に対する使用量の目安はあるか
- 混ぜる時間や、待つ時間に違いはあるか
家族に伝えるときは、実際の飲み物で一緒に

私は、自宅で母にとろみ剤の混ぜ方を教えたことがあります。
ご家庭でも、作る人が何人かいるなら、同じ商品と飲み物を使って、一緒に手順を確認しておくと伝えやすいと思います。
覚えておくことが多いときは、袋の説明だけでなく、次の内容をメモにしておくのも一つです。
- 使う商品の正式な名前
- 飲み物の種類と量
- 粉の量と、混ぜ方・待ち時間
- 担当者と確認した、できあがりの濃さ
商品が変わったら、メモも見直します。以前の商品の量や時間を、そのまま使い続けないためのメモです。
片栗粉の代わりに、料理へ使ったこともあります
私自身、野菜あんかけなどに、片栗粉の代わりとしてとろみ剤を使ったことがあります。
飲み物だけのもの、と思っている方もいるかもしれませんが、料理に使える製品もあります。例えばトロミアップエースやとろみファインは、食べ物への使い方も公式サイトで紹介されています。
ただ、料理にとろみがついたことと、その人が食べやすい食事になったことは別です。 具材の硬さや大きさも関わるので、飲み込みにくさがある方の食事は、担当者に確認した形に合わせます。
片栗粉と同じ分量に置き換えられるとは限りません。料理へ使う場合も、その製品の説明を確認してくださいね。
買い替える前に、3つの条件で選び直す
量・混ぜ方・待ち時間を見直しても、毎日の準備が大変。そんなときは、ご家庭に合う商品や包装を考えてみましょう。
「溶けやすい」という説明だけでなく、次の条件を比べると選びやすくなります。
普段の飲み物に使えるか
お茶に使うのか、牛乳にも使うのか。いつも作る飲み物での使用方法を確認します。商品のシリーズが違えば、同じ量・同じ手順とは限りません。
必要な粉の量を準備しやすいか
小袋は、必要な量と1袋の量が合うかを見ます。袋入りは、毎回量れるかを確認しましょう。「小袋1本なら誰にでも適量」という意味ではありません。
家族で交代して作るなら、誰が担当しても同じ手順で準備できるかも大事ですね。
無理なく使い切れるか
内容量だけでなく、開封後の保管方法も確認します。大袋を選ぶときは、安さだけで決めず、使う頻度に合うかを考えてみてください。
購入先では、正式な商品名・包装・内容量・送料を見比べます。病院や施設と同じものを探す場合は、名前をメモしておくと確かめやすくなります。
商品の違いを確認したい方へ
私が使った4商品の感想と、5商品のメーカー情報を別記事にまとめました。作り方や包装を比べたい方は、とろみ剤5商品の選び方|使い方と続けやすさをご覧ください。
※比較記事には広告リンクが含まれます。今の商品で問題なく準備できていれば、買い替える必要はありません。
迷ったら、商品名と作り方を一緒に相談
とろみ剤がうまく溶けないときは、自分の混ぜ方が悪いと決めつけなくて大丈夫です。商品が変わったり、飲み物が違ったりするだけでも、見直す点があります。
まずは手元の説明を確認し、分量を量って、指定の手順と時間で作ってみる。それでもうまくいかなければ、商品名・飲み物・分量・混ぜ方を伝えて相談しましょう。
なお、とろみをつければ必ず安全に飲めるわけではありません。むせる、飲みにくそう、飲む量が減ったといった変化があるときは、濃さだけを自己判断で変えず、かかりつけ医や担当の言語聴覚士に相談してください。
この記事は一般的な情報であり、個別の飲み込みの評価に代わるものではありません。製品の最新の表示と、ご本人を担当する専門職の説明を優先してください。
参考情報
製品の使い方・注意事項の確認日:2026年10月23日。


