「言語聴覚士になって、後悔したことはありますか?」
こう聞かれたら、私は正直に「あります」と答えます。
でも、ST資格を取ったこと自体を後悔しているわけではありません。
たくさんの患者さん、ご家族、同僚と出会えたことは、私にとって大きな財産です。
ただ、働き続ける中でこの道だけでよかったのかなと感じた瞬間はやっぱりありました。
この記事では、現役STとしての私の体験をもとに、言語聴覚士で後悔しやすいことと、後悔を減らすためにできる行動を整理します。
ST学生さんにも、今しんどい現役STさんにも届くように書きますね。
結論|後悔しても、STを選んだ人生は終わらない
言語聴覚士で後悔する瞬間があっても、それは向いていないと決めつける理由にはならないと思います。
後悔の正体は、仕事そのものよりも、責任の重さ、人間関係の固定、外の世界を知らない不安から来ることが多いと感じます。
私自身、9年間病院で働く中で医療とは違う分野でもよかったかもと後悔したことがありました。
理由は転勤や部署異動がなく、ずっと同じ人間関係の中で働くことがしんどかったからです。
そんな私でも今は、一度離れたあとに、結局STとして戻っています。
一度離れてもいい。
副業をしてもいい。
違う世界に熱中してもいい。
そして、戻りたくなったら戻る道もあります。

私が後悔したのは、責任の重さでした
私がSTとして一番しんどかったのは、責任の重さです。
特に病院で働いていると、嚥下(飲み込み)の判断は、患者さんの命や生活に直結します。
「この方は食べても大丈夫なのか」
「むせがあるけど、どこまで進めるのか」
「ご家族の希望と、安全のバランスをどう取るのか」
こういう判断を日々求められます。正直ここが1番しんどかった。
もちろん、医師、看護師、管理栄養士、介護職など、多職種で相談しながら進めます。
それでも、現場で評価をするSTには独特の重さがある。
これは、ST学生の頃には想像しきれなかった部分でした。
教科書で学ぶ時は、評価方法や訓練内容に目が向いていました。
でも実際の現場では、患者さんの状態、ご家族の思い、医師の方針、退院先の生活まで考える必要があります。
人間関係が固定されることもしんどかった
もう一つ大きかったのは、人間関係です。
STは、職場によって人数が少ないことがあります。
PTやOTに比べて少数派になりやすく、同じ職種に相談できる人が限られることもあります。
さらに、病院や施設によっては転勤や部署異動がほとんどありません。
つまり、ずーっと同じ人間関係の中で働くことになります。
長く同じメンバーで働ける安心感もあります。
でも、人間関係で一度しんどくなると、逃げ場が少ないと感じやすいです。
それはSTの仕事が嫌いだったからではありません。
ずっと同じ場所にいることで、自分の世界が狭くなっているように感じたからです。
💡 STの仕事が嫌いなのか、職場が合わないのか
ここは分けて考えた方がいいです。仕事そのものが嫌いなのではなく、今の職場環境が合っていないだけのこともあります。
それでも、STになってよかったことはたくさんある
後悔したことはあります。
でも、STになってよかったことも、もちろんたくさんあります。
一番大きいのは、人との出会いです。
患者さんが少しずつ言葉を取り戻していく場面。
食事の形を工夫して、少しでも本人らしい時間を取り戻す場面。
そういう場面に関われたことは、STだからこそ経験できたことだと思います。
この仕事は、目立つ仕事ではないかもしれません。
でも、人の生活のかなり深いところに関わります。
だからこそ、やりがいも大きい。同時に、責任も重い。
この両方がある仕事だと思います。
後悔を減らすには、ST以外の世界を持つ
私が当時の自分に言うなら、「ST以外の世界をもっと持っていいよ」と伝えたいです。
たとえば、副業を小さく始める。
ネイルやヨガなど、仕事と関係ないことに熱中する。
違う業界の人と話す。
それだけでも、気持ちがかなり変わることがあります。
私の場合、違うことに熱中したり、一度STから離れたりしたことで、ステージを一つ進めた感覚がありました。
ずっと同じ職場、同じ人間関係、同じ価値観の中にいると、「ここでうまくいかない自分はダメだ」と思いやすくなります。
でも、外の世界を見ると分かります。
働き方は、想像よりたくさんあります。
「STだけ」「病院だけ」「正社員だけ」と思い込まなくてもいい。
これを知っているだけで、心の逃げ道になります。

転職活動は、辞めるためだけのものではない
STとして後悔しそうな時、いきなり退職を決める必要はありません。
まずは、求人を見るだけでもいいと思います。
今の職場の給料は高いのか、低いのか。他の職場にはどんな働き方があるのか。
デイサービス、訪問、回復期、急性期、小児、非常勤。
同じSTでも、働く場所が変われば、求められることも、しんどさも変わります。
言語聴覚士の主な職場は医療、介護、福祉分野で、医療機関が全体の6割を占めるとされています。
「今の職場がすべてではない」と分かるだけで、気持ちが少し軽くなるのではじゃないでしょうか。
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言語聴覚士の転職サイトおすすめ3社を比較した記事はこちら
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ST転職サイトは登録だけでもいい?今の職場がすべてではないと思えた話
副業は、気持ちを逃がす場所にもなる
収入を増やすためだけではなく、気持ちを逃がす場所としても、副業はありだと思います。
私は、STだけに自分の価値を置きすぎると、しんどくなることがあると感じています。
仕事でうまくいかなかった日。
職場の人間関係で疲れた日。
患者さんやご家族への対応で、心が重くなった日。
そんな時に、ST以外の小さな世界があると、少し呼吸がしやすくなります。
副業といっても、最初から大きく稼ぐ必要はありません。
ブログ、ハンドメイド、学び直し、資格の勉強、趣味の発信。
「私はSTだけじゃない」と思える場所を作ることが大事だと思います。
もちろん、副業は勤務先のルール確認が必要です。
でも、違う世界を知ることは、働き続けるためのリフレッシュになることがある。
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一度離れても、戻ってこられる
私は一度STの現場から離れました。
そして今、また現役STとして働いています。
離れたからこそ、見えたものがあります。
STの仕事の良さ。
自分に合う働き方。
昔の自分が、どれだけ狭い世界で頑張っていたか。
一度離れることは、負けではありません。
むしろ、次のステージに進むための時間になることがあります。
もし今、STの仕事で後悔しそうになっているなら、「辞めるか続けるか」の二択だけで考えなくて大丈夫です。
休む。
求人を見る。
非常勤に変える。
副業を始める。
違う職場を見学する。
一度離れて、また戻る。
道は思っているより多いです。
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ST学生さんへ|後悔しないために知っておきたいこと
ST学生さんには、現場に出る前に知っておいてほしいことがあります。
STは、やさしいだけの仕事ではありません。
ことばや飲み込みに関わる仕事なので、人の生活に深く入ります。
時には、ご本人やご家族のつらい場面にも関わります。
だから、責任の重さにびっくりすることがあるかもしれません。
でも、それはこの仕事が大事な仕事だからです。
後悔を減らすには、実習や見学で「きれいな部分」だけでなく、「しんどい部分」も見ておくことが大事です。
そして、就職先を選ぶ時は、病院名や給料だけでなく、相談できるSTがいるか、人間関係が固定されすぎていないかも見てほしいです。
完璧な職場はありません。
でも、自分が長く働けそうな場所を選ぶことはできます。
現役STさんへ|後悔しそうなら、外を見ていい
現役STで、今つらい人へ。
STにこだわりすぎなくてもいいです。
今の職場にこだわりすぎなくてもいいです。
一度離れて、また戻ってきてもいい。
私は、違うことに熱中したり、一度離れたりしたことで、自分の中の景色が変わりました。
その結果、またSTとして働けています。
「ここで頑張れない私はダメだ」と思わないでください。
場所が変われば、働きやすさが変わることがあります。
働き方が変われば、STの仕事をまた好きになれることもあります。
よくある質問
言語聴覚士になって後悔する人は多いですか?
人によりますが、責任の重さ、人間関係、給料、働き方で悩む人はいます。
ただし、後悔した瞬間があるからといって、STに向いていないとは限りません。
職場環境が合っていないだけのこともあります。
STを辞めたら資格は無駄になりますか?
無駄にはなりません。
一度離れても、非常勤、デイサービス、訪問、小児など、戻り方はいろいろあります。
資格は、自分の人生の選択肢として残ります。
転職する勇気がありません
すぐに転職しなくて大丈夫です。
求人を見る、職場見学の情報を集める、転職サイトの記事を読むだけでも一歩です。
辞めるためではなく、選択肢を知るために動いてみるのがおすすめです。
副業はSTでもできますか?
勤務先の就業規則を確認する必要があります。
ただ、副業や趣味など、ST以外の世界を持つことは、気持ちの逃げ道になることがあります。
無理のない範囲で、小さく試すのが安心です。
まとめ|後悔は、人生を見直すサイン
言語聴覚士で後悔したことはあります。
責任の重さ。
人間関係の固定。
医療以外の世界を知らなかったこと。
でも、STになってよかったこともたくさんあります。
だから私は、「STはやめた方がいい」とは思いません。
ただ、「STだけにこだわらなくていい」とは強く思います。
一度離れてもいい。
違うことに熱中してもいい。
副業を始めてもいい。
そして、戻りたくなったら戻ってきてもいい。
後悔は、失敗の証拠ではありません。
自分の働き方を見直すサインです。
今いる場所だけが、あなたの人生ではありません。
関連記事:言語聴覚士9年で辞めた本音
関連記事:STの市場価値と副業の考え方
※この記事は、私個人の経験と公開情報をもとにした一般的な内容です。退職、転職、副業の判断は、勤務先の就業規則、家庭状況、体調によって変わります。具体的な判断は、ご自身の状況に合わせて慎重に検討してください。
参考:
- 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「言語聴覚士」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/169 - 厚生労働省「副業・兼業」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html - 一般社団法人 日本言語聴覚士協会「言語聴覚士とは」
https://www.japanslht.or.jp/what/


