退職理由を聞かれたとき、私は「夫の転勤で」と正直に伝えました。面接した方は普通に納得した様子で、それ以上は突っ込まれませんでした。
むしろ気になったのは、3年間のブランクについて聞かれたことです。
「やっぱり、間があくとダメなのかなぁ」
そんなふうに不安に感じたのを覚えています。
退職理由を話せても、その次の質問で不安になることはあります。だから私は、辞めた事情と、今どんなふうに働けるかをセットで考えておくとよいと思っています。
退職理由を、立派な話にしなくてもいい
私の場合は夫の転勤でしたが、辞める理由は人それぞれ。勤務時間が合わない、人間関係に疲れた、今とは違う仕事をしてみたい。いくつか重なっていることもあるでしょう。
面接だからといって、それを全部キャリアアップのためだと言い換えなくてもよいのではと思っています。
大切なのは、辞めた理由が相手に伝わること。そのうえで、次の職場でどう働きたいかを話せれば、応募先との話もしやすくなります。

たとえば転居で辞めたなら、その事情を短く伝える。続けて勤務条件を聞かれたら、出勤できる曜日や時間を答える。最初から長い説明を用意しなくても、会話の中で補っていけます。
厚生労働省の面接対策コラムも、退職理由に加え、これまでの経験を応募先でどう生かすかを扱っています。
ただ、採用されたいからと無理な約束はしないでおきたいですね。「いつでも働けます」と言ってしまうと、入職してから自分が困ることになります。
なお、夫の転勤を話したのは私自身の選択です。家族の仕事や家庭事情を、誰もが詳しく説明する必要はありません。厚生労働省は、本人の適性・能力に基づく公正な採用選考を求めています。
話しにくい事情まで、全部伝えなくてもいいと思います。事実の中から、面接で伝えられる理由を選んで話せばよいのではないでしょうか。
人間関係が理由なら、どう伝える?
「転勤なら話しやすいけど、人間関係が理由だと言いにくい」
そう感じる方もいると思います。ここからの回答例は、私の面接での発言ではなく、伝え方を考えるための例です。自分の事情に合う部分だけ使ってください。
相手への不満より、仕事で困ったことを話す
人間関係の詳しい事情まで話さなくていいと思っています。たとえば、業務の相談ができず困っていた場合。「上司と合わなかった」だけでは、どんな状況だったのか伝わりません。
どうしても他に理由がない場合は、こんな言い方なら、次の職場に求めることまで伝えられます。
業務で迷ったときに相談しにくい状況が続き、退職しました。次は、相談しながら仕事を進められる職場で働きたいと考えています。
前の職場の人を細かく批判するのではなく、自分が仕事を続けるうえで何に困っていたかを話す形です。
「改善のために何かしましたか」と聞かれることも考えておくと、返答に困りにくくなります。相談や話し合いをしたなら、その経緯を。できなかったなら、したことにせず、その理由を短く伝えます。
つらかった経験を、無理に自分の反省話に変える必要はありません。
勤務時間が合わなかったなら、希望をはっきりさせる
勤務時間が理由なら、次に続けられる時間帯まで話すと具体的です。
前職の勤務時間では継続が難しく、退職しました。現在は平日の午前中に勤務できます。その時間帯で担当できる業務について伺いたいです。
午前中というのは一例です。曜日や時間は、自分の生活に合わせて置き換えます。
退職理由は「なぜ辞めたか」、志望動機は「なぜここで働きたいか」。同じ答えを繰り返すより、募集内容のどこが自分の希望と合ったのかを添えると、応募した理由が伝わります。
「ブランクは大丈夫?」と聞かれて不安になった
私は退職理由よりも、こちらの質問が引っかかりました。仕事から離れた期間を聞かれると、それだけで自信がなくなってしまうこともありますよね。
でも、ブランクについて聞かれたことと、不採用が決まったことは別です。 私の面接でも、相手が何を心配していたのかまでは分かりません。
今なら「大丈夫です」と一言で返すより、経験のある仕事と、復帰後に確認したいことを伝える答え方を考えます。

たとえば、成人の言語訓練を担当した経験がある方なら。
以前は成人の言語訓練を担当していました。ブランクがあるので、評価の進め方や記録方法は確認しながら慣れていきたいです。入職後、相談できる方はいらっしゃいますか。
過去の経験は経験として伝え、不安なところは相談する。いきなり何でも一人でできると答えるより、働き始めたときの話につながります。
ブランク中、勉強していなかったら?
話せる学習実績がなくても、していない勉強を足す必要はありません。まずは、離職前にどんな方を担当し、どの業務を経験したかを思い出してみます。
「成人のリハビリ」だけでなく、言語訓練、嚥下評価、家族への説明など、自分が担当した仕事の名前を挙げると説明しやすくなります。
その中で、今も対応できそうなこと、復習したいこと、最初は不安があり誰かに確認したいことは何でしょうか。
以前やっていたからといって、今すぐ一人で任せてもらってよいとは限りません。特に安全に関わる業務では、不安を隠さず、どんな支援が必要かを話しておきたいです。
面接相手が管理者だと、現場のことを聞きにくい
自分の話はできても、職場の人間関係を聞くのは難しい。これは私も感じました。
私の経験では、面接をする方は管理者で、現場のSTではないことがほとんどでした。その方に、職員同士の関係をどこまで聞いてよいのか。聞きにくいですよね。
ブランクが不安なら、まずは「誰に相談できるか」に絞って尋ねるのも一つの方法です。
STの業務で判断に迷ったときは、どなたに相談できますか。
管理者がその場で答えられないときは、現場のSTと話す機会をお願いしてみる。STが一人の職場なら、普段はどうやって相談しているのかを確認する。
「皆さん仲がいいですよ」だけでは分からない、仕事中のやりとりを知る手がかりになります。
もちろん、相談先があるだけで働きやすいと決められるわけではありません。残業や職場の雰囲気も気になる方は、STの職場見学で聞くべき質問に確認例をまとめています。
辞めた理由だけでなく、これからの話も
退職理由をうまく言おうとすると、前の職場の話ばかり考えてしまいがちです。
けれど、面接の先には実際の仕事があります。週何回、何時から何時までなら働けるか。どんな経験があるのか、逆に不安な業務はどんなことか。
私自身、ブランクを聞かれて不安になった経験があります。だからこそ、これから面接を受ける方には、不安がないふりをしなくてもいいと伝えたいです。
まずは、担当してきた仕事と、復帰するときに聞いておきたいことを一つずつ。そこから、面接で話す言葉を考えてみませんか。
応募先を探す段階の方へ、私の利用経験を含めた言語聴覚士の転職サイト比較も載せています。
参考資料
- 厚生労働省 マイジョブ・カード:再就職の面接で聞かれることと上手に答えるためにすべきこと
- 厚生労働省:公正な採用選考の基本
回答例は、個人の経験を踏まえた準備の提案です。採用を保証するものではありません。


